養護教諭は保健室の先生なんですよ

S嬢はてな チームティーチングの落とし穴

リンク先の記事を読んで、あら〜まだ誤解があるんだなあと思いました。


私は2年間という、超短い期間ではありましたが、養護教諭をしておりました。この「養護教諭」という職種を説明するときに、ほとんどの場合「保健室にいる先生」という言葉を添えていたような気がします。

ええ、養護教諭の認知度なんてその程度…。養護学校教諭と間違えられるときもあれば、保健体育の先生と間違えられることもあり。


一昔前は「事務を採るか、養護教諭を採るか」という時代もあり、都会は分かりませんが田舎では養護教諭が軽んじられることも多かった。

学生時代に同期だった子が5年間の講師生活を経て正式採用になったのは、養護学校。そこで、洗面所の石鹸が補充されていなかったのを指摘され、髪の毛をひっつかまれて頭に水道水を浴びせられたという話を聞いたときは、さすがに唖然としました。


けど、養護教諭関連の雑誌の投稿欄を読んでいると、ひどい扱いを受けたという話は珍しくなかったです。採用され希望に満ちて、案内された保健室は物置同然のところだったとか、管理職に朝礼には参加しなくて良いと言われ、仕方なくその通りにしていたら、担任の先生に「やる気がないのかと思った」と言われ悔し涙を流したとか、そういう話がいっぱい載っていた。

そういう学校は一部だと思いますが、私も担任の先生に「面接したいから保健室、貸して」と言われたことがあります。保健室は、空き教室じゃないんですけれど…。


うちの母が中学校に勤めたときは、教科の先生が生徒に体罰をする場所として保健室を使われることが多々あり、それが嫌だったと言っていました。保健室を「そういう場所」にしたくないのよ。


保健室をどういう場所にするか、ということを考えるのは楽しかった。保健室の機能は様々。情報提供の場でもあり、救急処置をする場でもあり、子どもたちが一息つける場でもあり、と養護教諭の個性によって、どうにでも変えることができる。

でも、保健室を「行ってはいけない場所」みたいに考える先生もいたなあと思う。逃げ場みたいな機能を持っているとは思う。それを悪い意味にとらえてしまうというか。保健室に行くのは弱い子みたいな捉え方。


一年目は、そういうことでずいぶん悩んだ。ふっ切れたのは二年目の後半に入ったあたりかなと思う。とにかく一番大切なのは子ども。自分が本当に大切にしたいもののためなら、いくらでも頭は下げてやる。

保健主事の先生が変わったこともあって、ずいぶんやりやすくなった面もあったと思う。とにかく担任の先生とコミュニケーションをとる。どんな小さなことでも、子どもたちの様子を伝える。担任への情報提供をどんどんしていく。

当たり前のことなんだけれど、分からなかった。誰も教えてくれる人はいないから、自分で模索していくしかなかったなあと思う。


二年目の教頭は、何ていうか陰険なところがあって、担任の先生たちとよく愚痴りあいました。何か言ってくるときに、教務の先生を使う人で、困った顔をして「教頭先生が、こういう風に言っているんだけれど…」と言われたときは、何だか気の毒になってしまった。

言いたいことがあるなら直接言えばいいのに、小さい学校なんだしと思い、それからは何でも直接、教頭に言いに行った。ケンカみたいな感じになったこともあった。計画案にダメ出しを何度もされました。でも、しつこく何度も出しに行きました。いや〜、あの頃ってパワーがあったのね、と思います。


送別会のときに、退職したり転勤したりする職員に対して、教頭がひとこと言うのですが、私に対しては「めげずに黙々と仕事をしている姿が印象的でした」と言われました。

この教頭に対して「ちくしょー」と思うことが、私の仕事に対するエネルギーになっていたのかもなんて、今は思います。