妹をむかえに

 小学校時代の作文で、もうひとつ興味深いものがあったので。

 妹をむかえに


 朝ごはんのときお母さんが
「ののか、帰りにまりちゃん(妹)つれにいってくれない」
と言いました。わたしはびっくりしました。今までまりこをつれにいったときは、ないからです。しばらくしてお母さんは
「もしも、まりちゃんがだるいとか言ったり雨がふったりしたらほいく園の先生にタクシーをよんでもらいなさい。千円わたしとくから」
と言いました。わたしは
「雨がふらなければいいな」
と思いました。ほいく園の先生に
「タクシーをよんでください」
とか言えません。だんだん、心配になってきました。お母さんは
「3時まで学校にいなさい」
と言いました。
 じゅぎょうが終わってもわたしは、教室にいました。いつもだったら3時とかすぐすぎるのにいざまつと3時なんてなかなかなりません。でも、本をよんでいたらあっというまに3時になりました。わたしは学校を出ました。グランドでは、4組の○○ちゃんたちがドッヂボールをしていました。わたしもやりたくなったけど妹をむかえにいくのでやめました。
 ほいく園につきました。ちょうどお母さんがくるので子どもたちは外へ出ていました。外には妹がいなかったので、げんかんにはいりました。きょろきょろしていると妹がみつかりました。わたしがうしろから
「まりちゃん」と言うと妹は、びっくりしたように
「あっおねえちゃん」
と言いました。それからまりこは
「先生、さようなら」
と言いました。そしてほいく園を出ました。その日はちょうど金よう日で本を借りてもいい日でした。わたしは、みんなが本を持っていれるかばんをもっているのに気がついて
「まりちゃん本は」
と聞きました。妹は
「あ、わすれてしまった」
と言いました。そしてもどりました。またほいく園を出ようとしたときお母さんにあげるピンクのがようしをもっていないことに気がつきました。わたしは、妹に
「あれ、まりちゃんお母さんにあげるピンクのやつは」
と聞きました。妹は
「あっさっきおいてきてしまった」
と言いました。そして本当にほいく園を出ました。
 それから地下道にはいりました。妹は地下道にはいるのがはじめてだしさきに反たいから人がはいっていて
「キャーキャー」
と言っていたので
「おねえちゃん、はいるのやめようよこわいよ」
と言いました。でもわたしは
「だいじょうぶだよ。おねえちゃんがいるでしょう」
と言いました。地下道を出ると妹は
「あれーさっきあっちにいたのに」
と言いました。
 あんまりにもつかれていたのでと中で足を止めてしまいました。妹が
「おねえちゃんどうしたの」
と言いました。わたしは
「なんでもないよ」
と言いました。
 家につくとつかれがどっと出ました。妹はまえおばあちゃんがむかえにいってたのです。
「おばあちゃんはたいへんだったんだな」
と思いました。


 この作文は実は日記として書いたものを、先生の指導のもとにさらに書き直したものなんですが、私は最後が気に入らない。最初に日記として書いたものは「家につくとつかれがどっとでました。ああ、つかれた、と思いました。」で終わっているんです。確かにそれではオチがつかんだろうと思うのですが、「おばあちゃんはたいへんだったんだな」というのが何だか作ったようであまり好きではないです。


 きっと「ああ、つかれた」の方が本音じゃないだろうかと思うんだけれどなあ。