おさかなと小さな女の子

reitokiさんのところで「淋しいおさかな」のことが書いてあったので、コメントしてきたのですが、別役実さんのことは「劇作家なんですね〜」程度で何も知らないのです。じゃあどこで「淋しいおさかな」を知ったのか。
私にとって「淋しいおさかな」と言えば、あのダジャレが好きな作曲家さんが作った、「混声合唱による童話 淋しいおさかな」のことなのです。
楽譜はもう絶版だと思っていたのだけれど、カワイ出版のサイトを見ると、受注生産となっていました。ほ〜。
私がこの曲を知ったのは学生のときで、ビクターから発売されていた「日本の合唱名曲選19 池辺晋一郎作品集」(すでに廃盤)というのに入っていました。確か演奏は東京混声合唱団。私は東混の演奏はあまり好きじゃないものが多いのだけれど、この演奏はけっこう好きかなと思う。
で、「淋しいおさかな」。寂しいでもなく、さみしいでもなく、淋しいという言葉に、ひらがなで「おさかな」がついてるところが、いいんだと思う。
「寂しいおさかな」でもダメだし、「さみしいおさかな」だといかにも子供向けという感じがするし、「淋しいお魚」だと、ん〜魚屋さん?みたいな感じで違った話になってしまいそうな気がする。
それで主人公(?)は、淋しいということが分からない「小さな女の子」
「淋しい」と「おさかな」と「小さな女の子」。この三つの言葉が揃っただけで、じゅうぶん物語だし、じゅうぶん淋しいような気がする。
合唱曲の話に戻ると、私は学生時代にこの曲を何回も繰り返し聴いて、「演奏しようよ〜」と指揮者をくどきおとそうとしたのですが、結局実現せず、でした。何せ長い。演奏時間25分。そしてソロが多いのです。
でも曲自体は、素直なメロディーが多いし、聴いていてとても楽しい曲だと思う。今の作曲家さんの作る合唱曲は、難解で器楽的な曲が多いような気がするのだけれど、池辺晋一郎の曲はメロディーが美しくて分かりやすいと思う。
多分、良い曲でも演奏されなければ、忘れられていくのかなあと思うのですが。コンクール向きでもなく、演奏会で演奏するのにもハードルが高い曲というのは、なかなか残っていかないのかなと思う。
それでも楽譜が「絶版」ではなく「受注生産」になっているということは、日本のどこかで演奏はされているのでしょうね。
で、今回「淋しいおさかな」が文庫で発売されたので、合唱曲もどこかで演奏してくれないだろうかと思ったのでした。